藤井基之の国会レポート2002(その11)


秋も深まり、日本列島は紅葉に包まれています。晩秋と言う言葉にはもの悲しさがありますが、しかし、枯葉の一枚一枚が美しく、快い季節です。秋には俳句の一つもひねりたくなるのが古今日本人の共通の思いですが、当然ですね。

 俳句といえば、去る10月26、27日の両日、近代俳句の父と呼ばれる正岡子規を生んだ愛媛県松山市で、第35回日本薬剤師会学術大会が開催されました。松山市の県民文化会館、南海放送本町会館に約3500人の全国の薬剤師が参集し、シンポジウム、研究発表、講演、パネルディスカッション、展示、市民講座等、盛りだくさんの企画で行なわれました。

 分科会会場では、薬局、病院、製薬、卸、行政等広範な職域で活躍している薬剤師が、それぞれの職域での調査研究、活動、新しい試み等について口頭やポスターで発表、ディスカッションが活発に行なわれていました。

 私も、開会式後の特別講演の要請をいただき、「薬事・医療制度改革の動きと薬剤師」と題してお話をさせていただきました。明治時代、医制、薬律によって生まれた薬剤師制度の1世紀を振り返り、今日の薬事・医療制度改革の議論を紹介するとともに、今、薬剤師が置かれている環境、明日の薬剤師に期待する私の日頃の思い、等々約一時間、お話させていただきました。 
 あいにくの曇り空でしたが、時間の合間を見て、今年がちょうど築城400年の松山城を見学いたしました。松山城は、関ケ原の戦い直後に築城されましたが、徳川期に一度焼失、今のお城は1854年再建されたものだそうで、150年前の再建当時のままの姿を今に残す貴重なお城だということです。さすが伊予松平氏の居城、その風格をみていますと、医薬分業時代の日薬学術大会を誘致された愛媛県薬の心意気はこのお城から発したのだろう、と思いました。

 さて、10月18日(金)、臨時国会が召集されました。内閣の一部改造に伴い国会の各委員会の委員長、委員の交代など異動がありましたが、私は、これまでと同じ、厚生労働委員会、決算委員会、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会、国民生活・経済に関する特別調査会の委員の指名を受けました。特に、引き続き厚生労働委員会で活動できることを喜んでいます。

 今国会の会期は2ヶ月弱であり、中心テーマは経済対策と北朝鮮問題、イラク問題等ですが、厚生労働、文教委員会等に関連する主な法案等は次の通りです。

 1) 医薬品副作用被害救済・研究開発振興基金等、独立行政法人化法案
 2) 社会保険診療報酬支払基金法の一部改正(支払基金の民営化法案)
 3) 学校教育法の一部改正(専門職大学院の新設等)
 4) 構造改革特別区域法案

 医薬品機構の独立行政法人化は、政府所管の特殊法人等163の法人等の改革の一環として行われるものです。国の機関や特殊法人を独立行政法人化するためには、平成13年に施行された「独立行政法人通則法」にしたがって、個々の機関、団体ごとに独立行政法人個別法を作ることとされています。今国会でも、厚生労働省、文部科学省だけでも、15の独立行政法人個別法案が提出されています。

 このため、独立行政法人化法案は、衆議院では、「特殊法人等改革のための特別委員会」が設置され、一括審議が行われています。参議院では、個別の法案ごとに、それぞれ所管する委員会で審議することとなっています。医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構の場合は、「独立行政法人医薬品・医療機器総合機構法」という個別法となっています。

 医薬品機構の独立行政法人化は、薬事法の一部改正の後を受け、いくつかの目標が掲げられています。第一に、これまで、事前指導、相談業務等については医薬品機構、製造・承認審査については食品医薬品審査センター、厚生労働本省医薬局が行っていました。このため、製薬業界等から、審査、指導体制の統一化が要望されていました。

 また、医療機器については、厚生労働本省での審査、財団法人医療機器センターでの事前相談が行なわれていましたが、この医療機器に関する審査、相談等の業務も新しい独立行政法人の業務とされました。また医薬品機構は、医薬品の副作用被害救済基金の事務を行って来ましたが、この業務も引き継ぐと共に、新たに生物由来医薬品等の被害救済基金が新設されるのに伴い、同業務も新しい独行法人で取扱うこととなっています。

 新しい独立行政法人医薬品・医療機器総合機構は、平成16年4月から稼動する予定ですが、厚生労働省は、承認審査体制の強化策として、100人以上の人員増を計画しているとのことです。

 社会保険診療報酬支払基金法の一部改正案は、支払基金の民営化を目的としたもので、これも特殊法人改革の一環として行われるものです。支払基金は、厚生労働省が設けた特殊法人ですが、「レセプトの審査支払は本来、保険者の権限であるとの考え方」から、保険者の直接審査及び民間機関への委託を認めるよう規制を緩和したらどうか等の議論もありました。

 一部には、支払基金の廃止論までありましたが、「全国約20万の保険医療機関等と約13000の保険者請求窓口との間における年間約7億5000万件の診療報酬明細書(レセプト)の審査支払業務を中立公正な体制で全国一元的に処理する必要がある」ことから、民営化という形をとることとなりました。

 次に、学校教育法の一部改正は、前回国会レポートでご紹介したように、専門職大学院の新設を目的としたもので、薬剤師教育改革の問題とも関連しており、今後、同大学院がどのような内容のものとなって行くか注目されます。

 また、「構造改革特別区域法案」がこの国会で審議されます。本年7月23日、総合規制改革会議は、政府の規制改革推進3ヵ年計画の見直しに関する中間報告において、規制改革特区構想を提案しました。

 特区構想の提案理由について、中間報告は、「我が国においては、近年、規制改革を通じた経済活性化が急務となっているにもかかわらず、様々な事情により規制改革の早急な実現が妨げられている場合も多い。規制改革の早期実施のためには、これまでのような全国一律の実施にこだわらず、特定地域に限定して、その特性に注目した規制改革を実施することにより、全国的な改正改革につなげる」としています。

 そして、「特別措置を講ずることが可能な規制を、あらかじめ法律上、一定の基準を満たす範囲で可能な限り列挙しておき、この中から地方公共団体が選択・申請し、国が認定する通則法形式を基本とすべき」と提言しています。

 この中間報告の提言に従い、政府は構造改革区域法案を作成、11月5日の閣議決定を経て、国会に上程されたものです。この法案の提出に先立ち、政府は、地方公共団体から特別区域における規制改革要望を募集、本年8月30日までに都道府県や市町村、民間事業者等から426件、約900項目に上る改革要望が提案されたということです。

 政府は、これらの提案を踏まえ、構造改革特別法案を作成したわけですが、同法案では、まず、 1) 内閣は構造改革特別区域基本方針を作成する、次に、この特別区域認定の手続きとして、2) 地方公共団体は、基本方針にしたがって構造改革特別区域計画の作成、申請する、3) 申請に基づき内閣総理大臣が構造改革特別区域計画を認定する、4) 規制の特例措置を適用する、等を定めています。 

 基本方針において、どのような法的規制について特別措置を講ずることが可能なのか、具体的な項目を一覧表として列挙することとなっています。法案では、特別措置を講ずることのできる具体的項目として、前述の地方公共団体からの提案等を参考として15事業が挙げられており、また、これらに関係する法律は、学校教育法、老人福祉法、大規模小売店舗立地法等14法律に上っています。

 政府は、特別区域案についてさらに第二次募集を行っており、今後事業が追加されて行くこととなりましょう。なお、現在のところ、これまで話題となってきた株式会社方式による医療機関経営、一般用医薬品の自由販売等の項目は、具体的テーマとしては提案されていないようです。なお、規制緩和については、この特別区構想に加え、12月中ないし下旬には総合規制改革会議の見解が公表される予定であり、先日、現在検討中の項目が公表されました。

 以上の他、医療制度改革についても国会の議論に上っています。

 医療制度改革については、既にご報告したように健康保険法の一部改正の決議を受けて、厚生労働省が検討を続けており、また自民党においても厚生労働部会のもとに5つのワーキンググループを設けて検討が続けられています。10月には、坂口厚生労働大臣が私案を出されましたが、これを踏まえて、厚生労働省は11月中には同省案をまとめるとしています。

 一方、党のワーキンググループは、12月までには改革案をまとめることなっています。これまでの議論の状況については前回レポートを御参照下さい。

 本年もいよいよ残り1ヶ月半、急に冷え込みが強くなっています。景気も依然として停滞していますが、この年末、元気一杯、乗り切りましょう。

[haiku=”自然薯が おのれ信じて 横たはる  ( 中村汀女 )”/haiku]          

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