藤井基之の国会レポート2004(その1)


 明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくご指導の程、お願い申し上げます。
 今年は甲申(きのえ・さる)の年にあたります。甲は、カブト、甲羅、あるいは固い種子の殻を意味し、また申は「伸」に通じ、伸びるという意味を持っています。つまり、固い殻の中に次なる改革の芽が育ち、やがて殻を破って、その改革の新芽が伸び始めるのです。甲申の年は、「改革の年」といえましょう。
 今から180年前の文政7年は、甲申の年にあたりました。この年、長崎出島のオランダ商館付きのドイツ人医師、シーボルトは、長崎の郊外の鳴滝に土地を求め、長崎奉行の許可を得て、診療所と西欧医学、薬学、博物学等を学ぶ為の塾を兼ねた「鳴滝塾」を開設しました。鳴滝塾は、全国各地から集まった若者達の西欧文明学習の拠点となり、 高野長英等の俊秀を育て、彼らが日本の開国、近代化への大きな原動力になって行きました。

 鳴滝塾開設に当り、シーボルトは、「この一小天地よりして、科学的開発の新光明が四方に放射した」と述べました。昨年春、ヒトゲノム配列解読完了に関する6カ国首脳共同宣言が発表されました。まさにゲノム科学時代に突入した今、180年前のシーボルトの言葉を、そのままこの新しい”甲申の年”の始めの言葉としたいと思います。
 さて、第158回通常国会は,今月19日に召集されますが、私が委員を務める厚生労働委員会の最大の仕事は年金制度改革です。厚生労働省は、現在、国民年金法の一部改正案等関連法案の国会への提出の準備を進めています。改革の主な内容については、昨年12月のこのページでご紹介しましたが、昨年末、与党年金制度改革協議会は、保険料率の引上げ上限について、厚労省原案の20%ではなく、18.35%とすることを決めました。また、基礎年金部分の国庫負担割合を2分の1とすることとし、その財源についてあらゆる手段について検討することで合意しました。
 年金制度改革については、党の年金制度調査会始め、関係委員会でも再三にわたり議論を行って来ました。今改革では保険料は引上げられ、一方、給付額は、今後の経済情勢、少子化の動向等によって状況は異なりますが、現在の平均59%から減額されていくと見込まれています。基本方針では、給付額は平均50%以上を確保することとされていますが、そのような年金制度改革を行う以上、何故そのような改革が必要なのか、国民に分かり易く説明しなければならない、との議論が党調査会では相次ぎました。そして、そのための党のパンフレットが作成されましたので、その一部を以下にご紹介いたします。

 「なぜ年金改革が必要なのですか?」
お年寄りの世帯の収入のうち、公的年金は7割りと言う大きな割合を占めています。今や、 子どもからの仕送りは、残念ながらほとんどありません。もし公的年金がなかったら、 子どもが自分たちの親の老後生活を仕送りなどで支えなければなりません。
 公的年金があるが故に、働いている現役の世代が皆でお年寄りを支える安心の仕組み(後の世代が前の世代を支える仕組み)が実現しています。
 わが国では急速な少子化・高齢化が進んでいます。現行の年金制度の仕組みのままでは、将来の現役世代の負担する保険料は年収の3割近くになってしまいます。このような保険料は外国にも例はありません。
 今日、お年寄りが負担を担う現役の世代をおもんぱかり、一方、現役の世代が今日の豊かな社会を創ってくれたお年寄りに感謝しながら、お互いにどのようなバランスをとっていくか、答えを出さなければなりません。こうした観点から、先般、政府・与党で検討を重ね、改革案をまとめました。」
 この通常国会では、年金制度改革について大変厳しい審議が行われそうです。持続可能な国民皆年金体制を構築すること、それが改革の目的です。

 <医療費改定>
 年末ぎりぎりまで厳しい議論が続いたこの4月に予定される医療費改定。結局、総医療費ベースで?1.0%の改定とする、ただし技術料本体については±0.0%、薬価・医療材料について?1.0%とすることとなりました。平成14年度の改定では、技術料本体も1.3%の引下げが行われましたが、今回は、医科、歯科、調剤それぞれ必要な部分について引上げ、引下げを行い、結果的は±0%とする、という考え方のようです。
 昨年末の来年度予算案の編成過程では、財務省から、賃金物価の動向を踏まえ、0?5%の範囲で引下げを行う必要があると考えているとの情報が流れ、厳しい議論となりました。しかし、結果的には技術料本体は±0%、昨今の賃金・物価の動向等を考えますと、やむを得ない落としどころかもしれませんが、昨年実施された医療経済実態調査の結果からみても、医療機関、保険薬局にとっては厳しい措置といわなければなりません。

 <規制緩和>
 昨年12月22日、総合規制改革会議の「規制改革の推進に関する第3次答申 ―活力ある日本の創造に向けて―」 が発表されました。平成13年12月11日、第1次答申、平成14年12月12日、第2次答申、そして今回は第3次答申です。
 答申では、骨太の基本方針2003で取り上げている規制改革の下記の12の重点検討事項について、それらの進捗状況と具体的な実施方針について意見を述べています。

 ○ 株式会社による医療機関経営
 ○ 混合診療の解禁(保険医療と自費医療の併用)
 ○ 労働者派遣業務の医療分野への対象拡大
 ○ 医薬品の一般小売店での販売
 ○ 幼稚園・保育所の一元化
 ○ 株式会社、NPO等による学校経営の解禁
 ○ 大学、学部、学科等の設置等の自由化
 ○ 株式会社等による農地取得の解禁
 ○ 高層住宅に関する抜本的な容積率の緩和
 ○ 職業紹介事業の地方自治体・民間業者への開放促進
 ○ 株式会社等による特別養護老人ホーム経営の解禁
 ○ 株式会社等による農業経営(農地のリース方式)の解禁

 医薬品の一般小売店における販売も重点項目の1つとなっていますが、これについては昨年12月16日、厚生労働省が、「医薬品のうち、安全上特に問題がないものの選定に関する検討会」が選定した15製品群,約350品目について公表、同省は、医薬品から医薬部外品に移して、一般小売店での販売を認めるという、現行薬事法の範囲内で規制緩和を行うという方針を決めました。

 これら重点項目に合わせ、答申ではさらに、IT,競争政策、法務、農業など11の分野ごとに、規制改革の推進をはかるべきとする項目について、意見を述べています。そのうちの「医療・福祉」の分野で、次ぎのような項目が取り上げられています。

 ○ 保険者による調剤レセプトの審査・支払 (平成16年度中に結論)
 ○ 保険者と薬局の協力関係の構築 (平成16年度中に結論)
 ○ 2000点未満の調剤レセプトの再審査請求 (平成16年度中に結論)

いずれも保険薬局に直接関係する問題ですが、特に?は、保険者(健保組合等)と保険薬局が直接契約し、例えば、現在1点10円とされている単価を9円とする等、個別に条件等を設定することができることを検討したらどうか、というものです。保険医療機関においては、平成15年に既に通知が出されており、保険薬局においても同様の緩和を検討すべきとの意見が盛り込まれたとのことです。今後、どのような措置が行われることとなるのか、注目されます。

 <薬学6年制>

薬学教育の6年制への年限延長については、新年早々にも文部科学省の「薬学教育の改善 ・強化に関する調査研究協力者会議」の最終報告がまとめられることとなっています。そ して、その報告書を基に中央教育審議会で審議され、答申が得られ次第、順調に行けば学 校教育法の一部改正し、薬剤師の養成教育については6年の年限とする案が、この通常国会に提出されるものと思われます。

 今通常国会は、イラクへの自衛隊派遣、年金改革等、重要な課題を抱え、厳しい国会となることは必至です。私も厚生労働委員会の理事として頑張りたいと思います。

 年始めは、恒例の各団体等の賀詞交歓会が相次いで開催されます。私も、沢山の団体の皆様からお呼び戴いており、日程調整を図り、出席させていただきたいと思っておりますが、同じ日の同じ時刻に、いくつもの会が重なってしまっている日もございます。このため、やむを得ず失礼してしまうこともあろうかと思いますが、どうかご容赦いただきますようお願いいたします。

 本年も、皆様が、健康で元気にご活躍されますようお祈りいたします。そこで、元気になる一句を。

[haiku=”正月に ちょろくさい事 お言やるな ( 松瀬青々 )”/haiku]

 (注) 松瀬青々。本名、弥三郎。明治2年、大阪中之島生まれ。幼いときから漢詩、詩歌を学び、俳句を新聞や「ホトトギス」などに投句。子規に称賛され、明治32年上京して1年ほど「ホトトギス」の編集に従事。帰阪後は朝日俳壇の選句を担当。明治34年「宝船」「倦鳥」を主宰、大阪俳壇の基礎をきづいた。昭和12年没

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