藤井基之の国会レポート2004(その12)


いよいよ12月。本年もまた、あっという間に過ぎました。残すところ2週間です。臨時国会は、予定通り12月3日に閉会となり、議事堂も議員会館も静かです。国会周辺の銀杏並木も紅葉の盛りを過ぎました。
 この1年を振り返ってみますと、私も大変多くの経験をさせていただき、また、重要な仕事をさせていただいたと思います。
 2004年の前半、国会は年金改革で揺れました。私は参議院厚生労働委員会の自民党理事を命じられ、通常国会の厚労委員会では、与野党間の折衝、委員会運営で、大変忙しく、また厳しい日々を過ごしました。審議は、国会議員の保険料未納問題等もあって大議論となりましたが、年金財政の今後を考えますと、今、改革に着手しないと国民皆年金体制が崩壊してしまう、改革を薦めるとの党の方針にしたがって、私も自分の役割を果たさせていただきました。審議の終盤では、2,3日に1回の頻度で質問にも立ちました。よい経験であったと思います。年金改革は、制度の一元化、無年金者の問題、国民の就業形態の多様化への対応、社会保険庁問題等、まだ多くの問題を残しています。さらに年金制度の安定化に向けて努力したいと思います。
 また今年は、薬剤師にとりまして歴史的にみても重要な年となりました。薬剤師教育6年制の実現です。6年制は、日本薬剤師会など関係者が昭和40年代から要望してきたものですが、医療安全対策問題や近年の医薬分業の進展による薬剤師職能の高まり等を背景として、通常国会では、衆参両院とも満場一致で学校教育法、薬剤師法の一部改正法が承認されました。私も薬学、薬剤師を選んだものとして、誠に感無量のものがありました。
 実施は、平成18年度入学生からとされましたが、6年制は、それ自体が目標なのではなく、薬剤師がさらに医療の向上に貢献するための手段として与えられたものです。6年制の実施を控え、更なる努力が、薬剤師に求められていると考えなくてはなりません。
 今年4月からは、医師の卒後2年間の臨床研修が義務化されました。厚生労働省は、これを「新医師臨床研修制度」と位置づけ、? 医師としての人格の涵養、? プライマリーケアの基本的な診療能力の習得、? 研修に専念できる環境の整備、を目指して研修体制の整備を進めています。歯科も18年から卒後臨床研修が義務化されます。薬剤師についても、卒後研修のあり方について検討を行うため、来年度予算が要求されていますが、のこされた課題です。
 さて、国会後の7月、参議院選挙がありました。ということは、私ももう任期半分を経過したのかと、月日の過ぎ行く速さをいまさらながら思いつつ、選挙戦では、わが党公認の同志のために全国を飛び歩きました。結果はわが党にとって必ずしも良い成績ではありませんでした。特に、志を同じくする小西候補の敗戦は誠に残念でなりませんでした。年金改革など、超少子高齢社会に備えた大きな変革の時期における与党の責任の重さと、厳しさを痛感させられた選挙であったと思います。
 2004年後半は、9月30日、臨時国会が開催されました。臨時国会に先立つ小泉内閣の改造で、私は思いもかけず厚生労働大臣政務官を拝命しました。担当は労働行政となりましたが、平成9年霞ヶ関を退官して以来、7年ぶりの厚生労働省への里帰りとなりました。景気がなお一進一退する中で、雇用状況は、少しずつ改善の方向にあるとはいえ、なお、中高年層を始め、厳しいものがあります。また、フリーター、ニート(NEET)等、若者の生き方も多様化しており、労働行政は初めてではありますが、その重要性を実感しています。
 さて、今年も残りわずかですが、年末に向って、重要事項山積です。
 何と言いましても年末の来年度予算編成作業が大詰めを迎えます。多分、12月20日ごろに財務省内示となりますが、今年は、三位一体関連の予算編成が行われます。厚生労働省関係では、生活保護予算や国保の国庫負担の削減、地方への財源委譲等があります。 
 また、先週の厚生労働部会では、厚生労働省が進める障害者福祉サービスの一元化に関連して、予算との関連で議論がありました。現在、障害者福祉制度は、精神障害者医療、身体障害者や知的障害者に対する支援費制度が実施されていますが、これら各障害者対策には共通する部分が多く、サービスの一元化を図るために、障害者福祉サービス法(仮称)という法案の準備が進められています。この法案は、予算関連法案ですので、来年度予算編成の先立ち,党内でも議論が進められてきました。部会での審議では、介護保険との関係も議論されるべきだとの意見も強く出されていました。
 次に、規制改革・民間開放推進会議が、今月、中旬にも答申を出す予定ですが、同会議が重要検討項目として、14項目を挙げています。特に、そのうちの混合診療を巡って大きな議論が起きています。
 規制改革推進会議の答申の最初の原案では、?少なくとも、一定の水準以上の病院においては、包括的に全ての技術等について混合診療を解禁すべき、?診療でない行為、既に技術が確立された診療については全ての医療機関を対象に直ちに解禁すべき、となっていました。これは、およそ医療技術については確立されたものであろうとなかろうと、全て、医療保険との併用で行うことができるようにすべき、という意見です。
 これに対し、厚生省は、高度先端医療などについて、一定の条件の範囲で特定療養費として認定し、認めてきました。したがって特定療養費を拡充して、混合診療を進めてゆくという考え方です。
 同会議と厚生労働省の考え方は、ともに相容れず、同会議と厚労省の数回の折衝も行われましたが、14日現在までの閣僚折衝では合意には至りませんでした。新しい医療技術を、いち早く国民が受けられるようにするために、混合診療は一定の条件のもとに認められてよいと思いますが、しかし、同会議が原案で提案したような無制限な解禁は、医療の有効性、安全性が保証されず、国民皆保険を危うくしかねません。慎重な審議が必要です。
 また、一般用医薬品の販売規制の緩和についても、なお、コンビニ問題等が重要検討項目として取り上げられています。規制改革会議の重点検討項目とする14項目のうち、10項目は厚生労働省案件あり、規制改革会議が社会的規制分野の緩和に踏み込んでいることがわかりますが、国民生活の基本である社会的規制の緩和は慎重でなければならない、と強く感じます。
 これらの問題の他、来年は、介護保険制度の見直しが行われることになっており、通常国会には介護保険法の改正案が提出される予定です。平成12年の制度発足の際、5年ごとに制度の見直しをすることとなっており、来年は、その5年目にあたるわけです。

厚労省は、今回の見直しの柱を
   予防重視型システムへの転換
   給付の効率化・重点化・適正化
   保険者機能の発揮しやすい制度
    被保険者・受給者の範囲の見直し
としています。介護予防については、私も以前に厚労委員会で、要支援者、要介護度1の軽度の要介護者の要介護度が重度化してしまう比率が高いことを取り上げたことがありますが、介護状態の改善が、今回の見直しの重点事項となっているようです。
 また、再来年の通常国会での医療制度改革関連法案の審議がいよいよ本格化します。
 医薬品販売制度改革検討会の審議も進みます。
イラク復興支援は続き、北朝鮮拉致問題も益々混迷を深めつつ、年を越しそうです。
 年末に向って、寒さも厳しさを増しつつあります。
 来年は乙酉年。終戦の年が乙酉だったそうです。つまり、ちょうど60年、干支がちょうど一回り、還暦となるわけです。終戦の年は、同時に日本再出発の年、この年をスタートとして、我が国は、大きく発展してきました。
 酉年は鶏の年。鶏は夜明けを告げます。来年が皆様にとりまして、明るい未来への夜明けの年となりますように、お祈り申し上げます。

[haiku=”行く道が 帰りくる道 年のくれ (八田 木枯)”/haiku]

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