藤井基之の国会レポート2005(その12)


 師走。北日本に寒波が襲来、各地に大雪を降らせたようです。
 一気に寒さが増しました。
 今年は、例年にも増して一年が経つのが早かった気がします。通常国会は8月お盆前まで続き、最後の最後に郵政民営化法案否決。国会解散。9月総選挙。わが党の圧勝。1ヶ月間という異例の特別国会。郵政民営化法案再審議、成立。内閣改造。医療制度改革大綱発表。その間に厚労大臣政務官として、鳥インフルエンザ、アスベスト問題担当。さらに、厚生労働大臣政務官を退任した直後の11月20日からはODA調査のためにアフリカ出張。帰国したその当日、2年ぶりの「藤井もとゆきと語る会」を開いていただきました。本当に慌しくも、政治家生活の思い出に残る1年でした。
 さて、国会は閉会中ですが、国会では国土交通委員会等が開かれています。国交委では、11月に発覚したマンションの耐震構造設計の偽装問題の真相解明のため、関係者に対する参考人質疑、証人喚問がおこなわれています。
 その一方、郵政改革を終え、政府、党内では行財政改革の第2弾、第3弾の議論が続いています。また、来年度予算編成、税制改革の審議も大詰めに向かっています。
 税制改革では、党での私の担当は、社会報酬診療報酬に係る非課税措置の存続、オーファンドラッグやワクチンの試験研究費に係る特別措置等の医療医薬分野。党税調で、これらの事項を重点事項として取り上げるよう要望しました。
 また、財政改革では、私も党の行政改革本部・特別会計改革委員会のチームリーダーに指名され、石油、電力特会を担当しました。国の会計では、一般会計はおなじみですが、特定の分野の事業については、その分野独自の勘定で特別会計として運営されています。現在は、次の31の特別会計があります。
社会保険事業
厚生保険、国民年金、船員保険、労働保険
その他の保険事業
農業共済再保険、漁船再保険及び漁業共済保険、森林保険、地震再保険、貿易保険
公共事業
道路整備、治水、港湾整備、空港整備、国営土地改良事業
エネルギー関係
電源開発促進対策、石油及びエネルギー需給構造高度化対策
農林水産関係 食料管理、農業経営基盤強化措置、国有林野事業
行政的事業 登記、特許、特定国有財産整備、国立高度専門医療センター、自動車損害賠償保障事業、自動車検査登録
融資事業・資金運用 財政融資資金、産業投資、都市開発資金融通、外国為替資金
整理区分 交付税及び譲与税配布金、国債整理基金
これら特別会計の事業内容、予算決算、資金運用に無駄はないか等について精査し、特別会計として存続の是非、再編、統合の必要性等について審議を続けてきたわけです。委員会の議論結果は、政府に提出される予定です。
 (医療制度改革大綱)
 さて、医療の分野で年末最大の課題は、政府・与党医療改革協議会がまとめた「医療制度改革大綱」です。10月19日に、厚生労働省が「医療制度構造改革試案」を出しましたが、12月1日に発表されたこの大綱は、厚労省試案をベースとしつつ、来年4月に予定されている診療報酬改定にも言及しています。大綱の主な項目の概要は以下の通りです。

? 医療費適正化の総合的推進
まず、今後さらに増加を続けると予想される医療給付費の伸びについて、
(1) 中長期的な対策として、生活習慣病・予備軍の減少策、平均在院日数の短縮、公的保険給付の範囲の見直し等を進める
(2) それらの対策を基に、経済規模、国民負担の観点から、医療費の実績を評価し、将来(5年程度を含め)の医療給付費の規模の見通しを示し、医療費検証の指標とする。
(3) 将来の医療給付費のあるべき規模の見通しに当たっては、医療費の対国民所得比、対GDP比を基に、国民負担の面から許容範囲にあるか、厚生労働省、経済財政諮問会議等で検討する。
(4) 国及び都道府県等が協力し、生活習慣病対策や長期入院の是正などの計画的な医療費適正化に取り組む。

? 新たな高齢者医療制度の創設

 現行の老人保健制度を廃止して、新たな高齢者医療制度を創設する。
  65歳以上の高齢者を、65歳?74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と分け、後期高齢者を対象とする独立した「新高齢者医療制度」を創る。新高齢者医療制度の財源は、「国庫負担+被用者保険・国保からの支援+高齢者自身の保険料+患者の一部負担」。国庫負担5割、支援4割、保険料1割。
  また、医療機関、薬局の窓口で患者が支払う一部負担金は、75歳以上高齢者原則1割、ただし現役と同程度の所得のある人は現役と同じ3割とする。
  一方、前期高齢者は、それまで加入していた医療保険にそのまま74歳まで加入し続けることとする。例えば、被用者保険に入っていたサラリーマンは、65才で定年に達した後もそのまま保険料を払って、同じ被用者保険に入り続けることになる。患者一部負担は2割とし、ただし現役と同じ程度の所得のある人は3割とする。

? 保険者の統合再編
(1) 国保の都道府県単位で保険運営を推進するため、市町村の拠出により医療費を賄う共同事業を拡充する。
(2) 政管健保を国と切り離し、全国単位の公法人を保険者として設立、都道府県単位を基本とする財政運営を行なう。
(3) 健保組合については、都道府県内で企業・業種を超えた地域型健保組合の設立を認めるなど、再編・統合を進める。

? 診療報酬等の見直し
(1) 平成18年度の診療報酬改訂については、賃金・物価の動向等の経済動向、医療経済実態調査の結果、保険財政の状況等を踏まえ引き下げの方向で検討する。
(2) 薬価は市場動向を踏まえ、引き下げる。また、後発品の状況を勘案し、先発品引き下げを行なう。
(3) 後発品の使用促進を図るため、処方せん様式を変更する。
(4) 中医協の委員構成を、公益6人(これまで4人)支払側7人(同8人)、診療側7人(同8人)とする。
 以上のようなものですが、新しい高齢者医療制度等については、これから法案が作成され、来年の通常国会に提出されます。また、診療報酬については、まず、間もなく、引き下げ率等が内閣で決定され、年末から来年にかけて、その具体的な中身について中医協を中心に審議が進められます。引き下げがどの程度の規模となるのか、まだわかりませんが、それによって医療の質が下がるような改定は絶対に避けなければなりません。
 (医療提供体制の改革)
 ところで、医療制度改革の両輪である医療提供体制改革について、社会保障審議会・医療部会の報告書が発表されました。医療提供体制改革では、医療法第5次改正が行なわれますが、報告書で次のように、今回の医療法改正の趣旨を述べています。
 「現行の施設規制法の性格が強い医療法について、患者の視点に立ったものとなるよう、必要な規定の追加も含めて全体的な構造を見直す。」
 医療法という法律は、昭和23年に、戦争で荒廃し、また近代化が遅れていた日本の医療体制を立て直すために制定されたもので、確かに「施設規制法」の性格があるのですが、平成4年の第2次医療法で、医療法に「医療の基本理念」が、また、平成9年の第3次改正ではインフォームドコンセントの規定が盛り込まれ、医療基本法的な性格が付与されたと言われました。つまり、病院や診療所などの施設整備の規定から、医療のあり方を規定する法律に性格を変えてきたということです。今回の意見書では、それをさらに一歩を進めるという考え方が打ち出されたという意味で、大変重要な記述だと思います。
 その上で、意見書では、次のような提言をしています。
? 患者・国民の医療機関等の選択の支援
・医療に関する情報提供推進の責務規定
・入院時の入院診療計画の策定と患者への交付・説明の義務付け、等
? 医療安全対策の総合的推進
・医療安全対策についての責務を規定、等
? 医療機能の分化・連携の推進
・医療計画に、がん対策、脳卒中対策、急性心筋梗塞対策、糖尿病対策等の医療連
携対策を記載する、等
? 母子医療、救急医療、災害医療、へき地医療体制の整備
? 医療法人改革
? 医療を担う人材の育成、医療従事者の資質向上   等
 また、今回の意見書では、医薬分業が全国平均50%を越えるに至ったことを背景に、地域薬局の位置付けを明確にすることとしていることが、特筆されます。意見書では、今後の薬局のあり方について次のように提案しています。
  薬局を医療提供施設として位置付け、次に事項を実施し、医薬品等の供給拠点として地域医療いより貢献していくようにする。
  ア 医療計画における医療連携体制への位置付け
  イ 薬局機能に関する一定の情報の届出・公表の制度化
  ウ 薬局における安全管理体制等の整備
  エ 薬局における医薬品に係る情報提供・相談体制の整備
 以上のような考え方を踏まえて、現在、法案作成作業が続けられています。
  来年は、冒頭から診療報酬審議、そして通常国会では、来年度予算審議に続いて、厚労分野では、新しい高齢者医療制度の創設、医療法の改正案等を中心に新しい医療制度のあり方、社会保険庁改革等についての議論が行なわれます。課題山積の明年です。
 来年は、サッカーのワールドカップの年。予選リーグの組み合わせも決まりました。日本は、ブラジル、クロアチア、オーストラリアと同グループ。決勝リーグへの勝ち上がりを祈りましょう。
[haiku=”笛ふいて むかしむかしの 日向ぼこ  (中川宋淵)”/haiku]

せめて、お正月はのんびり過ごしましょう。

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