-事業仕分け-


 来年度の国家予算編成作業の一環として、政府の行政刷新会議が事業仕分けを進めています。事業仕分け自体は、平成14年から、京都府をはじめ、37自治体で実施されてきたものであり、また自民党の無駄遣い撲滅プロジェクトチームも試みてきたもので、目新しいものではありません。しかし、政府が、各省庁から財務省に提出された概算要求について、その必要性などについて事業仕分けするというのは初めてのケースです。まずは241事業について仕分けを行うということで、仕分け作業の模様がテレビ中継されたこともあって、大きな話題となりました。
 事業仕分けの実施に対する国民の反応は、マスコミなどの調査によれば、70%近くが評価すると回答したということです。国の予算編成作業は、これまで国民の目にはふれず、財務省と省庁間の折衝で行われてきました。今回は、事業仕分けチームと各省庁とが議論し、しかもテレビ中継されたわけですが、これまで遠い存在であった予算編成に対する国民的な関心を高めるという点では評価されてよいでしょう。
 ただ、問題は仕分け作業の結果です。一部の報道によれば、事業仕分け自体については評価するものの、事業の仕分け結果については、評価するが42%、評価しないが41%と賛否相半ばしているとのこと。行政刷新会議も、前半の事業仕分けについてすぐには了承せず、採用するか否かの決定は先送りしたようです。
 特に、科学技術関係の予算案の仕分け結果に対する批判の声は大変強いようです。科学技術関連予算としては、「次世代スーパーコンピューター開発技術・・・限りなく縮減(凍結)」、「大型放射光施設スプリング8・・・1/3から1/2の縮減」、「先端研究の競争的資金・・・縮減」、「若手研究者育成・・・縮減」、「地域科学技術振興・産官学連携・・・廃止」、「GXロケット計画・・・廃止」等々と判定されました。
 これに対し、総合科学技術会議が、「短期的な費用対策効果のみを求めて先端的技術予算を削減すべきではない」と緊急提言したのをはじめ、国立9大学の学長が、「このような事業仕分けは国を危うくする」と批判。さらに、ノーベル賞受賞者である江崎、利根川、野依、小林の4氏らが、「まったく理解できない」と厳しく批判しました。中でも「次世代コンピューター技術開発予算268億円の凍結」に対しては、先端科学失速の危機として、マスコミからの批判も相次ぎました。
 さて、私は政治目標の一つとして、ライフサイエンスの振興など科学技術力の強化を掲げてきました。自民党政権は、21世紀日本の最重要政策として「科学技術創造立国」を掲げ、先端的科学研究の振興策を推進してきました。今回の事業仕分けで凍結、あるいは縮小すべきと判定された項目は科学技術創造立国政策の根幹をなすテーマです。
 私は、参議院議員現職時代、科学技術研究に対する国家支援を強化すべきと主張してきました。例えば、2006年3月7日の参院予算委員会では、当時の小泉総理に対し、次のように政府の見解を質しました。
 「政府は、総合科学技術会議の答申に基づいて、政府開発研究費総額を5年間(2006~2011)に、24兆円まで増やすとしている。研究資金総額に占める国の研究助成予算の割合を諸外国と比べてみると、2003年で、アメリカ31.1%、ドイツ31.1%、イギリス31.1%、フランスに至っては40.8%となっているのに対し、日本の政府支出は20%に過ぎない。科学技術創造立国を掲げる我が国としてはいささか心もとない。政府の財政的支援をさらに強化すべきではないか。」
 特に、私は薬学を専門とする者として、「創薬や医療技術研究に直結するライフサイエンス研究関係の国家予算を外国と比べると、各国とも、総研究費の10%~30%を国が支援している。しかし、日本は7.3%に過ぎない。これでは我が国は世界に遅れを取る。」と指摘しました。
 事業仕分けチームは、スパコンの開発研究費に対し「無駄である。外国から技術を買えばいい」などと判定理由を挙げているそうですが、これからの科学研究を支えるものがスパコンです。創薬研究もその例外でありません。スパコン研究の遅れは、我が国の科学技術の力の取り返しのつかない遅れを招くでしょう。緊急性があるとも思われない高速道路無料化を進めたり、高校授業料を無料化するために、286億円のスパコン開発研究費をはじめとする科学研究支援予算を廃止、縮小して本当によいものなのでしょうか。専門家が、「国を滅ぼす」と怒りを露わにするのは当然ではないでしょうか。
 天然資源に恵まれない我が国にとって、科学技術力こそ諸外国に負けない資源です。我が国は科学技術力の強化によってこそ、経済を発展させ、それによって年金や医療保険などの社会保障制度の財政基盤を強化し、国民が求める優れた高度な医療を提供することができ、国民が安心して暮らすことのできる長寿社会を築きあげることができる、と私は信じています。
 今回の事業仕分け作業を見ていますと、科学技術分野だけでなく、医療関連予算の事業仕分けなど、私は、新政権には確固とした政策、戦略がないのではないかと感じざるを得ません。しっかりと、これからの動きを注視してゆきたいと思います。

国会活動報告一覧

藤井もとゆきのFacebookページです

藤井もとゆきのTwitter