藤井基之の国会レポート2004(その11)
11月、今年も残すところ1ヶ月半となりました。関東地方の紅葉も色を増し、秋もいよいよ終盤です。と言うより、暦の上では既に立冬を過ぎているのですから、初冬というべきなのでしょうか。朝夕、寒さも感ずることが多くなりました。
10月下旬に発生した新潟県中越地震は、阪神淡路大震災規模の被害となってしまいました。被災地には今度もまた、多くのボランティアの方々が、活躍して下さいました。薬剤師会でも、地元の新潟県薬剤師会が中心となり、各地の薬剤師会応援部隊の協力を得て、薬剤等の配布、お薬相談などご活躍いただいたようです。道路の修復など被災地も徐々に復興に向かって動き始めています。しかし、未だ避難所生活を余儀なくされている方も少なくありません。
元の町や村を取り戻すため、一丸となって、復興を進めなければなりません。
さて、臨時国会は、中盤を迎えています。
この国会での争点はイラク、北朝鮮、そして郵政民営化です。年金問題についても議論が続いています。労働関係では、労働組合法の一部改正が行われました。
ところで、年末の予算編成を控えて、いわゆる「三位一体改革」を巡って、厳しい議論が続いています。一昨年は、「三方一両損」という言葉が飛び交いましたが、今回は、「三位一体」。
三位一体の本来の意味について、朝日新聞が解説していましたが、わかったような、わからない、このような言葉が飛び交うのも政治の世界の故でしょう。本来は、キリスト教の神学の説だということですが、今回の場合の「三位」とはなにか。
基本的な方針は、地方分権の推進、つまり地方自治体の行政の自由度を高めることが目的ですが、そのために必要なのは、地方自治体が自由に使える予算。そこで、?補助金の削減、?財源の地方移譲、?地方交付税の改革、の三つを一体的に行う、というものです。
もともと、この三位一体改革は、平成15年の骨太の基本方針で、「平成16年度から18年度までの3年間で、概ね4兆円程度の補助金を廃止、もしくは縮減する」というものでした。
そして、2004年の骨太では、平成16年度の1兆円の改革を除いた、残り3兆円の補助金削減等の改革を行う、との方針が示されました。
国の地方への補助金は、使用用途が決まっており、自治体の裁量が働きにくいお金ですから、骨太では、この2年間で3兆円の補助金の削減を行い、これに対し一定の税源移譲を行うことによって、地方がそれぞれの地域で必要な施策を行い易くする、との方針のわけです。
そこで、政府は、地方自治体に、補助金の削減案について意見を求めたところ、地方6団体(全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会)から、意見が提出されました。しかし、この6団体の意見と国の各省庁の意見が対立、今日の大議論となったわけです。
さて、三位一体改革で、私が政務官を勤める厚生労働省関係の「補助金削減」部分の議論はどうなっているのでしょうか。
まず、地方6団体の提案は、平成17年度、18年度で、廃止対象補助金を9440億円を削減(文教・科学振興11,458億円、公共事業9996億円、その他1386億円、合計32284億円)というものでした。
これに対し、厚生労働省の提案は、国民健康保険国庫負担、生活保護費負担金、児童手当国庫負担金などについて、国庫負担率の見直し(例えば、生活保護の国庫負担を現行の4分の3から、3分の2、または2分の1とするなど)を行い、合わせて約9000億円の改革を行うとしています。
その際、厚生労働省は、地方の事務として定着しているものについては、補助負担金を整理する(約600億円分)。しかし、社会保障制度に係るものについては、「全国的に一定の水準のサービス」の確保が重要であり、過大なサービスがあるなど地方ごとの実施状況にひずみを生じている部分もあることを考慮する必要があるとしています。
そして、国民健康保険制度では、まず、制度の安定的な運営を図るため、保険運営の広域化を通じた保険財政の安定化と医療費の適正化が必要だとしています。また、医療計画、健康増進計画、介護保険事業支援計画を通じて、総合的に都道府県を中心として取り組んでゆくことで、都道府県の保険医療分野での役割を強化してゆくことが肝要との考え方を打ち出しています。これは、厚生労働省が、現在進めている、「医療制度改革の方針」に添ったものですが、今後、この三位一体改革とどう整合を取ってゆくのか、注目されます。
いずれにしても、三位一体改革の議論は、義務教育費の議論に象徴されるように、できるだけ地方の自由度を確保しようという地方自治体の考え方と、全国一定レベルでの政策運営を図りたい国の考え方との対立であり、年末の政府予算案決定まで、意気が抜けない折衝が続くでしょう。
内親王紀の宮様の婚約内定という御目出度いニュースが飛び込んできました。地震、台風など、この秋は、日本は大きな自然災害が続きましたが、ようやく明るいニュースに出会いました。
この明るい雰囲気を保ったまま年末を過ごし、新しい年を迎えたいものです。
[haiku="赤とんぼ 絣模様の 空を飛ぶ (大串 章)"/haiku]