藤井基之の国会レポート2004(その4)

 4月に入りました。今年の東京の桜は、例年より早く、3月下旬に開花し、4月始め、満開となりました。年々、桜の開花が早くなるのも、地球の温暖化のせいでしょうか。いずれにしても桃、桜、木蓮が次々に花開き、まさに春爛漫です。

 さて、いよいよ衆議院で年金改革の審議が始まりました。
 野党はこぞって、政府案に反対を唱えています。一元化を盛り込まない改革案は、改革とはいえないと言っています。しかし本当にそうでしょうか。

 健保もそうですが、年金制度の一元化は、確かに、基本的な問題であり、将来的には成し遂げなければならない目標です。しかし、それぞれの歴史を持った国民年金、厚生年金、共済年金の一元化は、極めて重大な問題であり、時間をかけて国民的な議論をすることが必要です。ではそれまで、改革はすべきではないのか。現在の制度をベースに、今やれることを徹底的にやることが急がれているのです。年金制度の改革を進めるために、与党内に改めて、「与党年金改革推進委員会」が設けられ、私もそのメンバーに指名されました。

 ところで、3月から4月始めにかけて、私にとっては大忙しとなりました。一ヶ月ほどの間に、参考人に対する質問を含め、6回の質問の機会があったのです。

 まず3月8日(月)、決算委員会で、年金をテーマに、質問することとなりました。次いで3月18日(木)、厚生労働委員会で質問しました。BSE関連問題、鳥インフルエンザ関連問題を取り上げました。

 次いで3月15日(月)決算委員会で参考人から、わが国のODAのあり方についてご意見をお聞きし、質問しました。3月31日(木)も決算委員会でしたが、議題は内閣府の決算の審査でしたので、BT戦略大綱に基づく国の科学研究振興政策、規制緩和問題を取り上げました。

 さらに、3月22日(木)には、やはり、決算委員会で、「決算審査のあり方について」をテーマに参考人からの意見をお聞きした後、決算審査の予算への反映等について質問いたしました。

 そして4月8日(木)は厚生労働委員会。クリーニング業法の一部改正案、公衆浴場の確保に関する特別措置法の一部改正案の審議でした。

 以下、2回の参考人質問を除く質問の概要についてご紹介いたします。

 まず、3月8日(月)の決算委員会では、年金を軸として社会保障問題について質問しました。決算委員会ですので、会計検査院の平成14年度決算検査報告等をベースとしました。

 この国会では、年金改革は最重要課題ですが、年金改革に当って、年金保険料を財源とし
た福祉還元事業が問題の一つとなっています。実は、私は、先日、雇用・能力開発機構が雇用保険料等を財源として455億円を投入して建設した「勤労者リフレッシュスセンター・スパウザ小田原」を視察して来ました。

 この施設は、昨年、小田原市に8億5000万円で売却され、その後、ヒルトンに賃貸されているものですが、その経緯等について質しました。 同様に、グリーンピア事業等の経営が行き詰まり、低廉な価格で売却されるなど、年金財源が無駄に使われて来た、との厳しい批判があります。自民党では、これら、年金保険料を財源とした事業には、今後、年金保険料は一切使用しない、
という原則に基づいて事業の見直し案をとりまとめています。

 また、医療、年金、介護等の社会保障費用は、2025年には176兆円となると予想されていますが、その推計の基礎となる将来人口推計のあり方について質すとともに、膨大な社会保障費の財源をこれからどうして行くかが大きな課題である等、小泉総理など政府の考え方について質問いたしました。

 なお、当日の決算委員会は、NHKで一般放映されましたので、ご覧戴いた方もおられることと思います。質問が終わった後、ご覧になった全国の大勢の方から、ご意見をいただき、今更ながらテレビの威力に驚かされました。

 次いで3月18日(木)は、厚生労働委員会。質問テーマは、BSEの発生に伴うカプセル原料である牛ゼラチンの確保の問題、インフルエワクチンの適正な供給,鳥インフルエンザの治療薬の確保を取り上げました。

 厚労省は、BSEの発生に伴い、カプセル原料である牛のゼラチンについて、BSEの未発生国の原料への切り替えを指導してきました。ところが、昨年末、ゼラチンの最大の供給国であるアメリカで、BSEの発生が確認され、牛肉が輸入禁止となってしまいました。

 このため、厚労省は、BSEの発生していないオーストラリア、ニュージーランドなどの原料に切り替えるよう指導をしています。カプセルは、医薬品製剤に欠くことのできないものですが、原料の切り替えがスムースに進むよう、厚労省として対策が必要ではないかと質しました。

 また、毎年のようにインフルエンザワクチンの不足がいわれてきましたが、本年は昨年使用量の約4割増しの量を生産、供給したにもかかわらず、多くの医療機関でワクチン不足を来たすという事態となりました。しかし、その一方で、一部の医療機関では、過剰に仕入れ過ぎ、余って返品するという事態も起こりました。 

 これについて、医療機関に対し、適正な購入計画のもとにワクチンの仕入れを行なうよう、もっと強力に指導すべきではないか、と指摘しました。

 さらに、鳥インフルエンザ対策として、民間企業や医療機関任せではなく,必要な治療薬の国家備蓄体制もきちんとすべきと、指摘しました。

3月31日(水)の決算委員会は、内閣府の所管事項が対象でしたので、BT戦略大綱に基 づく科学技術研究の振興及び規制緩和問題を取り上げました。

 科学技術振興については、国の科学研究費の研究者への補助について、可能性をもった若い研究者に対する支援にもっと配慮するよう求めました。国の研究費の配分は、研究者の実績が重視されますので、どうしても、各分野の大家といわれる人に偏りがちになります。しかし、ノーベル賞の受賞対象となった研究の多くが、研究者の30代のころのものだということです。

 また、規制緩和問題については、3月19日に、新3ヵ年計画が閣議決定されましたが、特に今回は、「規制改革・民間開放推進3ヵ年計画」とされました。そこで、改めて今後の方針を確認するとともに、検討課題の選定はこれまでのような形でいいのか、規制緩和の本来の目的である、「日本経済の体質強化」につながるような課題を選定するべきではないか、と指摘しました。例えば、医薬品では、国民のニーズに応え、優れた一般用医薬品の確保をこそ考えるべきではないかと質しました。そして4月8日(木)、厚生労働委員会、クリーニング業法の一部改正案、公衆浴場の確保に関する特別措置法の一部改正案に関する質問を行いました。

 クリーニング業法の改正では、クリーニング営業者の苦情窓口の設置義務の規定、また、クリーニング所を持たないいわゆる取次ぎ業が増えていますが、最近では、店舗を持たない車による取次ぎ業も現れているとのことで、これらを届出制とすることとされました。

 また、クリーニング業から取次ぎ業に移行した場合、「生活衛生関係営業の適正化および振興に関する法律」では、組合加入資格が失われることとなっていましたが、今回の改正で、「クリーニング所を持たない取次店に移行する事業者についてもクリーニング業を営むもの」として、組み合いへの加入が認められました。

 これら改正について、関係者に対する周知徹底を求めました。
 
 ここ1ヶ月程は、国会質問の準備に追われましたが、国会議員は、国会の場で自分の政策を主張することこそ最も重要な本来の使命であり、責任であると思います。もっと、質問の機会をほしいと思っています。

[haiku="白木蓮の 天のきぬずれ 聴えけり (千代田葛彦)"/haiku]