カラーコンタクトレンズの安全性
5月末、国民生活センターは「カラーコンタクトレンズの安全性―カラコンの使用で目に障害もー」というプレス発表を行いました。
カラーコンタクトレンズは若い女性に人気があり、さまざまな色を楽しみながら目元のおしゃれ用として利用者が増えているようです。
視力補正用のコンタクトレンズは薬事法において「高度管理医療機器」に分類され、製造販売するためには厚生労働大臣の事前承認が必要となっています。しかし、おしゃれ用のカラーコンタクトレンズは承認不要の取扱いとなっていましたが、製品評価技術基盤機構(NITE)が、平成20年に「視力補正を目的としないカラーコンタクトレンズに関する調査報告書」を公表し、使用により生じた眼障害167件について解説しました。その原因の多くは、誤った手入れの仕方や使用方法についての理解不足であることが示されました。眼障害の中には、角膜潰瘍、角膜びらん等重篤な障害も含まれていました。
このような実態を受けて厚生労働省は、平成21年11月から「度なし」のカラーコンタクトレンズも高度管理医療機器に位置付けて承認が必要とし、平成23年2月以降は承認を受けたもののみが流通するようになりました。
本年5月の国民生活センターの発表は、カラーコンタクトレンズ17銘柄と個人輸入品(未承認)3銘柄についての安全性や使用実態等の調査結果であり、調査結果を受けての消費者へのアドバイス、業界・事業者への要望、行政への要望も含まれています。
承認基準(物理的要求事項)に関する試験では、直径やベースカーブ等が承認基準の表示の許容差を超えるものが存在し、着色状態の観察では、着色部分がレンズ内部に埋め込まれているとの広告表示にもかかわらず、レンズ表面に着色部分が確認されたものが存在し、目に及ぼす影響では、8時間装用したときのコンタクトレンズ矯正視力が、通常使用している透明なものの場合よりも低くなる傾向がみられた銘柄が多く見られる、装用を中止する程度の障害が見られることがある等が指摘されています。また、10代・20代へのアンケート調査では、入手先として約40%がインターネット通販であり、約44%が購入時に眼科を受診したことがない等が判明しています。
消費者へのアドバイスでは、透明なものよりも眼障害を起こしやすいので、使用する場合には必ず眼科を受診すべきこと、異常を感じたら直ちに使用をやめて眼科を受診すること等としています。
業者・事業者へは、品質管理の徹底等を、行政へは、眼障害の原因について更なる調査を行い、必要に応じて承認基準を見直す等の検討を行うよう要望しています。
おしゃれ用カラーコンタクトレンズの安全性に関心を持っていただきたいと思います。