予算案及び子ども手当つなぎ法案が成立

 東日本大震災の発生から1カ月近くが経過しました。被災者の皆さんの避難生活も長期化することが避けられない状況にあり、大津波のため被災者の家屋の多くが流失し、仮設住宅の建設が急がれています。被災地には100を超える医療チームが活動中と聞いており、日本薬剤師会や日本病院薬剤師会の協力により、多くの薬剤師ボランテイアが派遣されています。支援物資としての医薬品の供給については不安の声は少なくなっていますが、一部の医療用医薬品については製造工場の破損等のため供給に支障を来し、緊急輸入、別工場での生産等による対応が図られています。また、関東地域における計画停電によるバイオ医薬品、無菌製剤の製造への影響も危惧されており、代替品のない医薬品の供給が滞ることがないような配慮が必要です。
 さて国会においては、平成23年度予算案が参議院で否決されたことを受け、両院協議会で協議が行われましたが意見の一致を見ず、憲法第60条第2項の規定により衆議院の議決が国会の議決となり、3月29日成立しました。
一方、民主党のマニフェストの目玉である、平成23年度における子ども手当法案については、参議院において成立の目途が立たないまま年度末の期限が迫ったことから、急遽与党は“国民生活等の混乱を回避するための平成22年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案”(子ども手当つなぎ法案)を議員提案しました。“子ども手当つなぎ法案”は、平成22年度の子ども手当を、そのまま6か月間延長して適用するというもので、「親のいない子どもへは支給されない」、「高額所得者の子どもにも支給する」、「国内居住は問わない」などの問題点もそのままということになっています。自民党においては、“ばらまき”としか思われない子ども手当に係る経費を、むしろ大震災の復興に向けるべきであるとの考えから、平成23年度法案のみならず“子ども手当つなぎ法案”にも反対するという立場で臨みました。
 衆議院においては、平成23年度子ども手当法案が国会に提出されたまま、3月29日の厚生労働委員会に“子ども手当つなぎ法案”が提案されるという極めて異例な状況の中で、与党及び共産、社民の賛成多数で可決され、同日の本会議に上程され可決されました。そして、平成23年度子ども手当法案は、3月31日の衆議院本会議で撤回されました。
 参議院においては、年度末の3月31日に“子ども手当つなぎ法案”が厚生労働委員会に提案され、質疑討論の後に採決に付されました。賛否同数(12対12)のため委員長に委ねられ、委員長賛成で可決されました。委員会終了を受けて、同日午後、本会議が開かれ、他の日切れ法案とともに“子ども手当つなぎ法案”が上程され、討論の後採決に付されました。参議院では否決されると予想されていましたが、野党議員の一部が賛成に回ったため、委員会と同様に賛否同数(120対120)となり、議長の賛成により可決成立しました。10月以降は白紙とされています。
 今は、被災地の早期の復興を願うばかりです。