日本発の画期的新薬を目指して
4月も半ばを迎えましたが、都心では季節外れの冷え込みに冬物のコートが離せない日々が続いています。巷では、先輩に連れられ慣れない手つきで名刺を差し出す新人社員の姿や名札に「研修中」との文字を付けた店員さんの初々しい様子が目を引きます。第100回薬剤師国家試験の合格者も3月27日に発表され、9千人を超える新しい薬剤師が誕生しました。待ちこがれた薬剤師免許書を手にして、病院や薬局で患者さんの服薬指導や服薬管理等、その使命を果たすべく日々務められているものと思います。
さて、日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development 、AMED)が4 月1日に発足し、前慶応大学医学部長の末松誠氏を初代理事長に迎え、その業務をスタートさせました。AMEDは「がん、難病等の我が国発の優れた革新的医療技術の核となる医薬品・医療機器・再生医療製品等を世界に先駆けて開発・導入し、同時に世界に輸出することで、日本の革新的医療技術の更なる発展につながる好循環を形成する社会を構築するため、医療分野の研究開発の司令塔機能を創設する。」とした、日本再興戦略の一つを具現化したものです。
日本再興戦略では米国NIHと対比して日本版NIHとも評されていましたが、自前の研究機関を持つ米国NIHには果たす機能や予算規模では及ばないものの、医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進、研究成果の円滑な実用化を効果的に行う司令塔の役割を目的とするJMEDの機能には、各分野から大きな期待が寄せられています。具体的には、医薬品創出、再生医療、がんなど9つのプロジェクトを一元管理し、先見性のあるプログラム・ディレクターやプログラム・オフィサーによって方向性を見定め、一刻も早い創薬や医療機器の実用化につなげていくことになります。
また、昨年の「日本再興戦略改訂2014」及び「先駆けパッケージ戦略」で示された、革新的医薬品や医療機器等の優先的な審査制度について、厚生労働省は4月1日、まずは医薬品を対象として試行的に実施することを通知しました。通知によれば、5月8日から3週の間に公募を行い、ヒヤリングや予備的審査を経て対象品目を選定するとしています。どれくらいの数の応募があり、どういった品目が選ばれるか興味のもたれるところです。
4月8日、文部科学副大臣として第44回日本産業技術大賞の贈賞式に出席しました。総理大臣賞はトヨタ自動車の水素自動車「ミライ」でしたが、文部科学大臣賞には小野薬品工業のがん免疫療法薬「オプシーボ」が選ばれました。AMEDなどの取り組みにより、これからも我が国発の優れた医薬品が大賞に選ばれるものと期待しています。