薬事法・薬剤師法の一部改正

 臨時国会は会期末を迎えましたが、社会的に注目されていた、一般用医薬品のインターネット販売の取扱いに関する薬事法等の一部改正法案が、会期末前日の12月5日の参議院本会議において、賛成多数で可決・成立しました。
 一般用医薬品の販売制度については、平成18年6月に薬事法が改正され、リスクの程度により第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品に分類され、平成21年6月から施行されています。その結果、最もリスクの低い第3類医薬品以外の一般用医薬品のインターネット販売が禁止されましたが、インターネット販売を行っていた事業者から、第1類・第2類医薬品のインターネット販売を行う権利の確認を求め、国を相手に訴訟が起こされていました。そして、平成25年1月11日に最高裁判決が出され、国が敗訴しました。敗訴理由は、インターネット販売を省令で禁止していることは薬事法の委任の範囲を超えているというものでした。この時点から、事実上すべての医薬品のインターネット販売は違法ではないという状態になったわけです。
 厚生労働省では、インターネット販売の範囲や安全性を確保するための販売ルール等について検討会で審議しましたが、関係者の合意を得ることができませんでした。そして6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」において、一般用医薬品のインターネット販売を認めることとし、スイッチ直後品目と劇薬指定品目については専門家による検討を行い、秋頃までに結論を得て、制度的な措置を講じるとされました。今回の法改正は、この専門家による検討結果を受けたものです。
 改正法案は、スイッチ直後品目(23品目)と劇薬指定品目(5品目)を「要指導医薬品」という新たな区分に分類し、医療用医薬品とともに「対面による販売」を義務化するというものであります。結果として一般用医薬品はすべてインターネット販売が可能となりますが、それ以外の医薬品は法律に基づき禁止されることとなります。施行は来年の春頃となるでしょう。
 本法案の厚労委員会審議においては、委員差し換えにより久し振りに質問に立ち、下記のような内容について政府の考えを質しました。
 インターネットは国民生活に定着していますが、偽造医薬品や非合法品目の販売等の問題もあり、副作用リスクを伴う医薬品が適正かつ安全に使用されるためには的確な販売ルールの策定とその遵守が重要であり、監視体制の一層の強化が必須です。
 一方、日本再興戦略では、一般用医薬品を利用するセルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進するとしており、今後とも地域に密着した健康情報の拠点としての役割に期待したいと思います。
 また、薬事法改正では、指定薬物の所持、使用等を禁止することとし、取り締まりの強化策が講じられることになりますが、監視体制の他に検査体制の充実が必須です。