藤井基之の国会レポート2003(その10)

10月、秋たけなわ、朝夕は少し肌寒さすら感じます。錦秋の便りが各地から聞かれます。ここのところ北海道、東北にかけて強い地震が続きました。皆様の地域ではいかがだったでしょうか。被災地の皆様には心からお見舞い申し上げます。

 さて、自民党総裁選挙が終わり、内閣改造も済んで、会期36日の予定で臨時国会が召集されましたが,10月10日、衆議院解散となりました。

会期2週間の短い国会でしたが、10日、10時から参議院本会議が開かれ、テロ特別措置法の一部改正案、人事院勧告に基づいて国家公務員の給与を引下げるための給与法の一部改正案、感染症法等の一部改正案,公職選挙法の一部改正案が可決成立しました。13時、衆議院本会議開催、中央社会保険医療協議会の委員の任命等の議事の後、衆議院を解散する旨の天皇の詔書が綿貫衆議院議長により読み上げられ、衆議院は解散されました。今後の日程は、10月28日(火)公示、11月9日(日)投票の予定です。

 私達参議院と違い、衆議院には解散があります。今回は平成12年以来3年振りの選挙ですが、以前お伺いしたある先生の地元事務所には、「常在戦場」という額が掲げてありました。いつ選挙があるか分からないという状況の中での政治活動は本当に大変だと思います。

 今会の総選挙に当り、公職選挙法が改正され、いわゆるマニフェスト(各政党の重要政策をまとめたパンフレット)を、選挙運動の一環として頒布することが認められることとなりました。今回の選挙は、数値目標を含む政権公約を掲げての選挙となります。

 選挙の争点は、イラク復興支援に対する自衛隊派遣問題、小泉内閣の推進する構造改革等の経済政策、そして、社会保障関係では、なんといいましても先月本欄でご紹介した来年度に予定されている年金改革です。私達自民党は、これらの課題について、国民にとってどのような方向が最もよいのか、党内で何度も激論を交わしてきました。その議論を踏まえてのマニフェストの下に、この選挙で自民党が過半数を獲得し、勝利することを信じて疑いません。
  
<医薬品のうち安全上特に問題がないものの選定に関する検討会>

 さて、一般用医薬品の販売規制の緩和に関し、9月、少し動きがありました。

 一般用医薬品の規制緩和については、骨太の基本方針2003で、規制改革の重点項目の一つに指定され、今年中に、その措置方策についての結論が出されることなっていますが、9月26日、厚労省は、表題のような長い名前の専門家会議「医薬品のうち安全上特に問題がないものの選定に関する検討会」を設立し、検討を開始しました。骨太の基本方針の内容を復習してみますと次ぎのようなものでした。

「 医薬品の一般小売店における販売については、利用者の利便と安全の確保について平成15年中に十分な検討を行い、安全上特に問題がないとの結論に至った医薬品すべてについて、薬局・薬店に限らず販売できるようにする。」

この「安全上特に問題がない」と認められるものを検討するために、今回の専門家会議が設置されたわけです。

 ところで、この専門家会議とほぼ同様の目的の委員会として、平成9年、中央薬事審議会に医薬品販売規制緩和特別部会が設置されました。この特別部会で、市販の一般用医薬品の全てについて、重篤な副作用が報告されていないかなど慎重な検討が行われ、その結果、「比較的作用が緩和で安全性が高いもの、15薬効群」が医薬部外品に移行されました。

 しかし、その後も平成14年、規制改革の推進に関する第二次答申において、一般用医薬品の規制緩和を推進すべきとの提案がなされ、これを受けて、厚生労働省は、新たに本年1月から「新指定医薬部外品検討会」を設置して検討を続けていました。

 ところが、今年度になって、前述のように骨太の基本方針2003及び総合規制改革会議の中間まとめによって、一般用医薬品の販売規制緩和は、規制改革重点12項目の一つとして取り上げられ、しかも本年内に結論を出すよう求められ、今回の専門家会議が設置されたわけです。

 さて、この一般用医薬品の規制緩和について、総合規制改革会議の昨年までの議論と今年の議論では、明らかに異なる点があります。それは、これまで厚労省は、「医薬品を医薬部外品に移行する」という方法で、規制緩和を進めて来ましたが、本年7月に発表された総合規制改革会議の中間報告では、「医薬品のまま、一般小売店で販売可能とすべきであり医薬部外品への移行方式ではだめ」だということを明確にしていることです。同会議は、「医薬部外品への移行では、十分な経済活性化に繋がらない」ことをその理由に上げています。

 いずれにしても、今後の最も重要な論点は、「安全上特に問題のないもの」を、医薬品のまま一般小売店で販売できることとするのか、それとも医薬部外品に移行して、一般小売店でも販売できるようにするのか、どちらにするか、ということになりましょう。そして、前者であれば薬事法の改正が必要であり、後者であれば薬事法の改正の必要はありません。今回の検討会は、「安全上特に問題のないもの」を選定することがその役割ですが、しかしその結論を踏まえて、その後に、厚労省が、薬事法改正を行うか、それとも、改正しないで医薬部外品移行方式で行くのか、決定することになりましょう。

 仮に、薬事法改正を行うとした場合、例えば、何処で売っているか分からない小売店における医薬品の品質管理に関する指導や監視業務、不良品の回収や添付文書の改定、第77条の4の医薬品の情報提供努力義務規定の適用をどうするのか、また、総合規制改革会議は、特例販売業や配置販売業で認められている医薬品については認めるべき、と主張しているとのことですが、そうであるとすればこの薬事法改正は、単に、「一般小売店で一部の医薬品の販売が可能となる」ということに留まらず、わが国の医薬品の販売許可制度の本質に関わる根本的な議論が必要となって来ます。ただ便利だからコンビニでの販売を認めればいい、というような単純な問題ではないのです。これからの議論を注意深く見守ってまいりましょう。

 なお、ドンキホーテの問題に関連して、厚生労働省は、10月10日、「深夜・早朝における医薬品の供給確保のあり方等に関する有識者会議」を発足させました。11月中には、何らかの結論を出すとのことです。

 さて、いざ決戦。これから11月9日までの私のスケジュール表は、次第に埋まりつつあります。北から南へ駆け巡る日々が続きます。   

[haiku=" 秋風や しらきの弓に 弦はらん   ( 向井去来 )"/haiku]