藤井基之の国会レポート2006(その6)

 関東地方も梅雨入りし、雨の日が続いています。
サッカーワールドカップ、ドイツ大会がスタート。日本チームは初戦でオーストラリアに敗け、苦しいスタートとなりしましたが、今後のがんばりに期待しています。
 さて、第164回通常国会も6月16日(金)で、150日(6月18日(日)まで)の会期を2日残し事実上閉会しました。会期延長もなく、また、今回は郵政改革のような大きな問題もなく、終了しました。私は、この国会では予算委員会理事、また、党国会対策委員会副委員長を命じられ、政府、行政との協議、党内調整、野党との折衝など、多忙なときを過ごしましたが、大変良い経験をさせていただいたと思います。また、予算委員会で3度、厚生労働委員会で2度、質問の機会も得ました。
 厚生労働委員会には、12本の法案が提出されていましたが、ねんきん事業機構法案など一部の法案は時間切れのため、今国会での成立はなりませんでした。しかし、医療制度改革に係わる健保法等改正案、医療法等改正案、そして薬事法改正案は、無事、可決、成立しました。
 特に、健保法等改正案、医療法等改正案は、成立が6月14日(水)、国対委員としては、緊張続きの国会終盤でした。
 薬事法の販売制度改正の本格実施は公布後3年以内、また老人保健法の全面改正による新しい高齢者医療制度は平成20年4月から、医療法改正は平成19年4月から、それぞれ実施と予定されています。それまでの1年半ないし3年の間に、それらの実施に向けて、厚労省で、政省令、告示、通達等詳細な準備が進められます。法案は通りましたが、むしろ、大変な時はこれからかもしれません。 また、6月16日(金)、「がん対策基本法」が承認されました。この法案は、高齢化の進展によりがん対策の一層の充実を図ることの重要性が増している、という認識に立って、がん対策を計画的に進めることを目的とする法律です。

 主な内容は、次の通りです。
? 国、地方行政の責務の明確化
? 医療保険者、国民、医療従事者の責務
? 国、都道府県のがん対策推進基本計画の策定
? がん予防、がん早期発見に推進
? がん医療の質の向上(がん専門医療従事者の育成
? がん治療薬、医療機器の治験に促進
 がん、脳出血、心疾患は、わが国国民の三大死因です。この法案は、全会一致で成立しました。

 さて、国会会期中の2つの話題についてご紹介しておきましょう。
 (薬学6年制の入学者の状況)
 今年4月、いよいよ薬学6年制が実施されました。
ご承知の通り、6年制は、学校教育法及び薬剤師法の改正によって行われましたが、薬学部には6年制と4年制が認められており、そのうち6年制修了者だけが薬剤師国家試験の受験資格があります。
そこで、本年4月の薬学部、薬科大学入学者についての状況(日本私立薬科大学協会調査)を見ると、入学定員では、国公立大学薬学部は、6年制706人、4年制764人、私立大学(既設)では、6年制9644人、4年制470人となっています。国公立大学は6年制:4年制の比はほぼ1:1、私立大学では約20:1となっています。
また、実入学者数でみると、国公立大学は6年制505人、4年制466人(ただし、7大学は3年次で6年制、4年制に振り分けることとなっており、現時点では、その499人については振り分けできないので除外)、私立大学(既設)は6年制9786人、4年制425人(ただし、2大学は未集計のため除外)。なお、この他に18年度新設大学が5私立大学あり、入学定員870人、実入学者数871人で、全員が6年制入学者です。
国公立、私立、それぞれの考え方で6年、4年の入学定員を定めていることが分かります。医学部、歯学部では、大学入学時点で、全員が医師となり、歯科医師となるという意識をもって入学するでしょう。これに対し薬学部入学者は、医師等に比べ、創薬分野など幅広い選択肢を持っていますが、薬学部6年制に入学するということは、“薬剤師を目指す”、という目的意識をもって入学するということです。薬剤師という国民の生命、健康を守る崇高な職業を選択するという意識を、入学早期から薬学生がその意識を持って学習することは、大変重要なことではないでしょうか。

 (合計特殊出生率1.25)
 厚生労働省は、2005年の合計特殊出生率を1,25と発表しました。合計特殊出生率とは、「1人の女性が一生の間に平均何人の子供を産むかを示す数値」ですが、過去5年の合計特殊出生率の推移をみてみますと、01年 1.33、02年 1.32、03年 1.29、04年 1.289、そして05年は 1.25となっています。人口を維持するためには2・08が必要ですが、1974年以降、出生率は2.08を下回り続け、05年にはは対前年0.04の減少となっており、少子化のスピードが一段と速まっていることがわかります。
 国立人口問題・社会保障研究所は、平成14年に将来の人口推計を発表していますが、そのとき、中位推計で用いた出生率は1.33という推計値を用いています。この1.33をベースに推計すると、2050年には日本人口は1億593万人に、今世紀の終わりには6414万人となると推計されていました。しかし、同年の低位の推計出生率1.26という数値を用いて計算すると、2050年には9203万人、2100年には4645万人、なんと現在の人口の3分の1近くにまで減少してしまうことになります。しかし、今回の数値は1.25であり、1.26という低位の推計出生率をも下回っていることとなり、今日の少子化、人口減少は予想以上に急速に進んでいます。

国会閉幕後の話題は、何といっても、9月の自民党総裁選でしょう。その後の秋の臨時国会まで、国会活動のご報告に、全国各地をお訪ねしたいと考えています。医療制度改革、薬事法改正など、お話したい話題は一杯です。

[haiku="あぢさいや 仕舞のつかぬ 昼の酒(大須賀乙字)"/haiku]