藤井基之の国会レポート2007(その2)

今年の冬は暖冬だそうですが、確かに、日中はコートが要らない日が多くなっています。春一番も吹いて、梅も満開、桃もそろそろ咲きそうです。東北や日本海側各地も雪が全体として少なく、スキー場などが悲鳴を上げているようです。
1月25日、第166回通常国会が召集されました。例年より1週間ほど遅い開会です。6月23日まで、150日間の長丁場の論戦が続きます。出鼻で、厚生労働大臣の発言が問題となってしましまい、野党が国会をボイコットし、波乱の幕開けとなりましたが、何とか正常に戻ったようです。現在は、衆議院予算委員会で、平成19年度予算審議が続けられています。

(イノベーション25)

1月26日、天皇陛下をお迎えして開会式が行われ、衆参本会議において安倍新総理の施政方針演説等がありました。演説は、「美しい国、日本」の実現に向けて、「新たな国家像を描いてゆくことが私の使命である」、と始まり、次のように、小生の専門分野でもある医薬品政策を含め、革新的な科学技術の推進のために、政府として支援を行ってゆく、と述べられています。

(安倍首相施政方針演説より)
「美しい国」を実現するには、その基盤として、活力に満ちた経済が不可欠です。日本が人口減少社会を迎える中で、国民が未来に夢や希望を持ち、より安心して生活できる基盤となる社会保障制度を維持するため、生産性を向上させ、成長力を強化することが必要です。今こそ、日本経済を中長期的に新たな成長の舞台に引き上げていくことが重要であり、今後5年間に取り組むべき改革の方向性を示した「日本経済の進路と戦略」を策定しました。これに基づき、私のリーダーシップの下、革新的な技術、製品、サービスなどを生み出すイノベーションと、アジアなど世界の活力をわが国に取り入れるオープンな姿勢により、成長の実感を国民が肌で感じることができるよう、新成長戦略を力強く推し進めます。

約100年前、権威ある物理学者が、「空気より重い空飛ぶ機械は不可能である。」と断言したわずか8年後、ライト兄弟が初の有人飛行に成功しました。絶え間のないイノベーションが人類の将来の可能性を切り開き、成長の大きな原動力になります。2025年までを視野に入れた、長期の戦略指針「イノベーション25」を5月までに策定し、がんや認知症に劇的な効果を持つ医薬品の開発などの実現に向けた戦略的な支援や、各国の特許制度の共通化への取組など、具体的な政策を実行します。
昨年12月4日の参議院決算委員会で、私も、安倍首相に対し医薬品産業政策について質問いたしましたが、その際にも、医薬品開発研究の推進を、「イノベーション25」の柱として位置づけるとのお答えがありましたが、5月までにはまとめられる「イノベーション25」が期待されます。
(後期高齢者医療制度に関する審議)

医療制度抜本改革の柱の一つである「後期高齢者医療制度」に関する議論が、来年4月の実施に備えて進みつつあります。審議は、厚生労働省の、社会保障審議会の「後期高齢者の医療のあり方に関する特別部会」で進められています。
去る9日、15日の両日、自民党の社会保障制度調査会の医療委員会が開かれ、厚生労働省から、特別部会での審議状況についての説明がありました。当日は、高齢者医療の現状について、資料で説明されました。
特別部会では、新しい後期高齢者医療制度をどのようなものとするか、高齢者医療やその診療報酬体系のあり方について議論が進められています。議論の核心である診療報酬体系についての具体的な方向については、まだ進んでいないようですが、高齢者医療のあり方について、次のようなことが論点として挙げられています。

? 複数疾患を併有しており、併せて心のケアも必要
? 慢性的な疾患のため、その人の生活に合わせた療養を考える必要がある
? 複数医療機関を頻回受診する傾向があり、検査や投薬が多数・重複となる傾向がある
? 地域における療養を行えるよう、弱体化している家族及び地域の介護力をサポートしていく必要がある
? 患者自身が、正しく理解をして自分の治療法を選択することの重要性が高い

新しい制度は、今後の国民医療を方向付ける大変重要な制度です。鈴木俊一調査会会長からは、「新しい制度を作る場合、これまでは、法律で制度の骨格を作るところまでに、政治は重点を置いてきたが、後期高齢者医療制度については、具体的にどのような制度体系とするか、内容が重要だ。調査会としての意見を、3月末までに集約してゆきたい」と、発言がありました。厚労省の特別部会も、この3月末までに、制度の骨格についての考え方をまとめ、夏以降に具体的な方向をまとめてゆくこととしているようです。

年度末までに、制度の骨格についての考え方が出され、その後は、パブリックコメントなども集めながら、議論が進められ、秋から年末には制度の全体像がまとめられるでしょう。この1年は、昨年にも増して重要な1年となることは確実です。

[haiku="春もやや 景色ととのふ 月と梅(芭蕉)"/haiku]