藤井基之の国会レポート2007(その6)

6月も中旬に入り、東京も、ここのところ曇り空の日が多くなっていましたが、14日、関東地方も梅雨入りしたようです。第166回通常国会も、予定の会期末まであと1週間余りとなりました。公務員制度改革関連法案など重要法案がまだ審議が終わっておらず、会期延長論も出ています。延長の日数によっては7月に予定されている参議院選挙の日程も変わってくるかもしれません。どうなるでしょうか。
(年金記録の未確認問題)
国会後半に入り、年金保険料の過去の記録のうち、支払い者本人が確認できない記録が5000万件あると、大きな問題となりました。この問題の経緯は以下の通りです。
平成9年、基礎年金番号制度が導入され、それ以前の年金記録を、基礎年金番号ごとに、一人一口に統合する作業に入りました。その際、職がいくつも変ったり、あるいは結婚、離婚によって姓が変わったりしたため、一人のひとに何口も年金記録があり、全部で3億口の記録があったとのことです。そこで、これらを調べたうえで、名寄せし、基礎年金番号に統合するという作業が続けられてきました。その未だ統合がすんでいない5000万件の記録があることが問題となったわけですが、年金は年金受給権が発生してから5年以内に請求しないと、その5年分が無効になってしまいます。このため、「未確認の記録」に相当する部分がもらえなくなってしまう、つまり、マスコミなどがいうように「年金が消えた」のではなく、「その記録分が時効になってしまう」ことが問題となったわけです。
そこで、政府・与党は、まずその時効に対する救済策として、国民の不安を解消するため、まず未確認分の時効を廃止する法案を国会に緊急提案したわけです。この措置をとった上で、未確認の記録を1年間で調査し、名寄せをしようという計画を立てたものです。国会審議では、これらの対策について野党は反対するばかりで、実効ある、具体的な対策となるような提案はせず、国民の不安を煽るだけだとしか言わざるを得ませんでした。年金保険料の支払いが国民の義務である以上、年金の受給は国民の当然の権利です。本来受け取るべき年金は全額、確実に受け取ることができるよう、政府・与党は約束をしています。一刻も早く問題を処理し、年金に対する国民の不安を解消し、信頼を回復しなければなりません。
(高齢社会白書)
2007年版「高齢社会白書」が発表されました。下のグラフは、その全体像をまとめたグラフです。(クリックすると拡大します。)

高齢社会白書は、毎年政府が作成し、発表しているもので、今回はその平成19年版です。白書の要点を拾ってみましょう。

我が国の高齢化の現状は、5人に1人が高齢者となっている
我が国の総人口は、平成18(2006)年10月1日現在、1億2,777万人で、前年(1億2,777万人:平成17年国勢調査)に比べてほぼ横ばいになっている。65歳以上の高齢者人口は、過去最高の2,660万人(前年2,567万人)となり、総人口に占める割合(高齢化率)も20.8%(前年20.1%)となっている。

今後、2.5人に1人が高齢者、4人に1人が後期高齢者という社会が到来
高齢者人口は今後、いわゆる「団塊の世代」(昭和22(1947)?24(1949)年に生まれた者)が65歳に到達する平成24(2012)年には3,000万人を超え、30(2018)年には3,500万人に達すると見込まれている。その後も高齢者人口は増加を続け、54(2042)年に3,863万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されている。  また、高齢化率は今後も上昇を続け、平成67(2055)年には40.5%に達して、国民の2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されている。総人口に占める後期高齢者の割合も上昇を続け、67(2055)年には26.5%となり、4人に1人が75歳以上の高齢者となると推計されている。

現役世代1.3人で1人の高齢者を支える社会の到来
65歳以上の高齢人口と15?64歳の生産年齢人口の比率をみてみると、平成17(2005)年は高齢者1人に対して現役世代3.3人になっている。今後、高齢化率は上昇を続け、現役世代の割合は低下し、67(2055)年には、1人の高齢人口に対して1.3人の生産年齢人口という比率になる。仮に15?69歳を支え手とし、70歳以上を高齢人口として計算してみても、70歳以上の高齢人口1人に対して生産年齢人口1.7人という比率となる。

男性83.67歳、女性90.34歳まで生きられる
平均寿命は、平成17(2005)年現在、男性78.56年、女性85.52年であるが、今後、男女とも引き続き延びて、67(2055)年には、男性83.67年、女性90.34年となり、女性の平均寿命は90年を超えると見込まれている。

高齢化はほぼこの政府の推計通りに進んで行くのでしょう。これからは、職を退いた後も、20年、30年と続く人生を、“余生”とか“老後”と考えるのではなく、“第3の人生”と位置づけ、社会的であれ、個人的であれ、それぞれの何かを十分に果たせる時間を与えられていると考え、目標を持って生きよう、と言った人がいますが、まさに同感です。そのためにも、医療や年金などの社会保障制度の基盤を安定させ、安心・健康社会をつくらなければなりません。
(医療法改正に伴う薬局をめぐる動き)
第5次医療法改正が4月から施行されましたが、この改正により薬局が医療提供施設として医療法の中に位置づけられました。薬局が医療提供施設なんて当たり前じゃないか、何を今更、と思われる方もあるかもしれません。
しかし、もともと薬局は薬事法の所管する施設ですから、これまでは医療法では、医療機関の周辺にある医療関連施設であり、国や地方の医療行政では、医療を脇から支える協力施設的な位置づけだったと思います。
今回、医療法の医療提供施設と位置づけられたことにより、薬局は、次のような医療提供施設としての新たな規定が適用されることとなりました。

医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受けるものの意向を十分に尊重し、「医療提供施設」、患者の居宅において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。

医療提供施設の建物又は設備を、当該医療提供施設に勤務しない医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手の診療、研究又は研修のために利用させるよう配慮しなければならない

医療提供施設において診療に従事する医師及び歯科医師は、医療を受ける者の診療又は調剤に関する情報を他の医療提供施設の医師若しくは歯科医師又は薬剤師に提供し、その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
医療提供施設の開設者及び管理者は、医療を受けるものが保険医療サービスの選択を適切に行うことができるように、当該医療提供施設の提供する医療について、正確かつ適切な情報を提供するとともに、患者又はその家族からの相談に適切に応ずるよう務めなければならない。

?は、これまでなら病診連携を意味していましたが、これからは、病-薬連携、診療-薬連携等を意味することになります。また、?については、この医療法の規定に連動して、薬事法も改正され、4月には厚生労働省令によって「薬局が開示すべき情報」が定められ、通知が出されました。
また、医療法において、医療の安全を確保するための指針を策定することが 義務付けられましたが、その一環として、3月には医薬品の安全管理手順書のマニュアルが策定され、病院、診療所とともに、薬局に対しても、指導通達が出されました。病院、診療所においても薬剤師の医薬品の安全管理に関する役割は、より大きなものとなるものと思います。

  来年4月から、後期高齢者医療制度が施行されますが、新制度をどのような制度とすべきか、どのような診療報酬・調剤報酬体系とするか、審議が進められています。こうした変革を礎として、薬剤師、薬局の新しい時代をどう築いてゆくか、今後の大きな課題です。

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