新たな財政支援制度の創設
政府は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を展望し、在宅医療・介護の推進、医師・看護師等の医療従事者の確保と勤務環境の改善、地域包括ケアシステムの構築といった「医療・介護ザービスの提供体制の改革」を実施するため、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」を今国会に提出しています。
ここにいう関係法律には、医療法、介護保険法、保健師・助産師・看護師法、歯科衛生士法等の改正法案が含まれています。これに加えて「地域における公的介護施設等の計画的な整備等の促進に関する法律」が改正され、医療と介護サービスの提供体制改革を進めるための新たな財政支援制度である「基金」の設置についての規定が新設されました。
この基金の財源として消費税増収分が活用され、国が必要な資金の3分の2を負担して都道府県が基金を設置することとなります。各都道府県は、基金財源の交付を受け、計画に基づき、地域にとって必要な事業を実施していくことになります。計画の策定に当たっては、計画の公正性・透明性を確保するため、官民を問わない幅広い地域の関係者から意見を聴取することが求められており、関係者として、市町村長、医療を受ける立場にある者、保険者、四師会等が例示されています。また、基金に基づく事業として、①病床の機能分化・連携のために必要な事業、②在宅医療(歯科・薬局を含む)を推進するための事業、③医療従事者等の確保・養成のための事業が挙げられています。
厚生労働省は対象事業の例を示していますが、薬局、薬剤師に関連する事業例は次のようになっています。
○在宅医療の実施に係る拠点の整備
○在宅医療推進協議会の設置・運営
○訪問薬剤管理指導を行おうとする薬局への研修や実施している薬局の周知
○在宅医療における衛生材料等の円滑供給の体制整備
○終末期医療に必要な医療用麻薬の円滑供給の支援
○女性薬剤師等の復職支援
○地域包括ケアの拠点となる病院・薬局における薬剤師の確保支援
平成26年度における新しい財政支援制度における基金規模は、公費で904億円となります。厚労省においては、3月20日に都道府県新基金担当者会議を開催し、上記の事業の事例等について説明し、4月中旬に第一回目の都道府県からの個別ヒアリングが行われます。ここでは、平成26年度において想定している事業内容や当該都道府県における基金の規模感等についてヒアリングするとのことです。更に、5~6月に第二回目のヒアリングを行い、平成26年度の事業の検討状況、平成27年度の基金の規模感についてヒアリンングが行われるとのことです。その後、9月に都道府県計画が策定され、11月に基金財源の交付が決定されることになる予定です。
基金財源の交付決定は11月となりますが、各都道府県においては、事業の実施に向けた計画の作成に向けて検討が始まっていると思われます。