薬事法改正に向けての動きが加速
国会は、昨年末における政権交代により、年度内の平成25年度政府予算の成立が物理的に困難とされていたことから暫定予算案の策定が急がれていたが、3月29日(金)の本会議で、5月20日までの暫定予算を何とか成立させることができました。今後は、政府予算の成立に向けての議論が活発になるものと思います。
ところで現在、薬事法の改正に向けた動きが活発になっています。厚生労働省を中心とした薬事法改正の動きの発端は、平成24年1月に公表された、厚生科学審議会・医薬品等制度改正検討部会による「薬事法等制度改正についてのとりまとめ」でした。この検討部会は「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」の最終提言を踏まえて設置された組織です。検討部会のとりまとめのうち、法改正が必要な事項を取り上げ、改正に向けての検討が行われています。
自民党においては、私が事務局長を務める「厚生労働部会・薬事に関する小委員会」が受け皿となり、厚生労働省等からの説明を受けながら検討を続けています。法改正の中心となるのは、1医薬品、医療機器の安全対策の強化(添付文書の厚生労働大臣への届け出等)、2医療機器の特性を踏まえた規制の構築(医療機器について薬事法上、独立した「章」立て等)、3再生医療・細胞治療製品の特性を踏まえた規制の構築(特別な早期承認制度の導入等)等が考えられています。
医療機器については、薬事法改正準備と並行して、医療機器の研究開発や普及の促進のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とした議員立法の動きも具体的に進んでいます。
再生医療については、再生医療・細胞治療製品に対する薬事法による規制のほか、臨床研究や自由診療による再生医療の安全性を確保するための新たな法律(いわゆる再生医療新法)の制定に向けての検討も進んでいます。更に、上記2法による規制という側面のほか、再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案(議員立法)も策定され、3月19日に衆議院の厚生労働委員会において可決されています。
このほか、検討部会のとりまとめでは、違法ドラッグ対策の強化(麻薬取締官(員)への指定薬物の取り締まり権限の付与等)も提言され、次期薬事法改正での対応も考慮されましたが、急ぎ対応すべきとの考えから別途の議員立法による対応(自民党の党内手続きは終了)が考えられています。
以上のような薬事法改正に向けての準備が進められている状況の中で、4月2日、日本経済再生本部の本部長である安倍総理より厚生労働大臣に対して、再生医療の迅速な実現、医療機器の開発スピードを引き上げるため、薬事法改正法案、再生医療新法案を今国会に提出すべく、作業を進めるよう指示があり、改正作業が加速されることになっています。