違法ドラッグ対策強化のための関係法律の改正

ゴールデンウィークが明け、国会も会期末に向けて重要法案の審議が進められています。また、平成25年度の政府予算案については、暫定予算の期限である5月20日までに成立することが確定しています。

さて、5月10日の衆議院本会議において、「麻薬及び向精神薬取締法及び薬事法の一部を改正する法律案」が採決に付され、可決・成立しました。この改正法案は、私も発議者の一人となった議員提案により今国会に提出され、参議院から審議されたものです。参議院及び衆議院の厚生労働委員会における審議に当たっては、ともに私が発議者を代表して法律案の趣旨説明を行いました。

違法ドラッグ対策としては、平成18年6月の薬事法改正により「指定薬物」の製造、販売、広告等について規制措置を講じてきたところですが、その後も脱法ハーブの使用に起因する交通事故の発生等若者を中心とした乱用が急速に増加してきています。厚生労働省の調査では、昨年12月時点で違法ドラッグを販売する業者数は、全国で305にものぼっているとのことです。

現在、指定薬物は、麻薬取締官等による取締りの対象となっていませんし、また、その疑いがある物品を発見した場合においても、それを収去することができず、取締りの実効性が確保されていない状況となっています。厚生労働省では、指定薬物への指定の迅速化等、監視指導や取締りの強化を図り、化学構造が類似している特定の物質群を包括的に指定薬物に指定する「包括指定」の取り組みを行ってきていますが、こうした取り組みに加えて、被害の発生や急速な拡大を防止する観点から、今回の法改正となったものです。

麻向法と薬事法を改正し、①麻薬取締官(員)に指定薬物に関わる薬事法に違反する罪について、司法警察員として職務を行うことを明確にし、②厚生労働大臣又は都道府県知事が、指定薬物に係る廃棄処分、立入検査等を麻薬取締官(員)にも行わせることができることとし、③厚生労働大臣又は都道府県知事が、その職員に、指定薬物又はその疑いがある物品を試験のため収去させることができることとし、④収去を拒み、妨げ、忌避した場合について罰則を設けることとしたものです。

一方で、再生医療製品への対応等を内容とした薬事法の改正に向けての動きが進められていますが、違法ドラッグ対策を急ぐ観点から、先行して改正を行ったところであります。少しでも違法ドラッグ事犯が減少することを願っています。