一般用医薬品のインターネット販売の解禁等の日本再興戦略を閣議決定

6月14日、政府は「日本再興戦略」(成長戦略)、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)及び「規制改革実施計画」を閣議決定しました。いわゆるアベノミクスの3本目の矢に当たるものです。

一般用医薬品のインターネット販売については、1月11日に、厚生労働省令で第一類と第二類医薬品についてインターネット販売を一律に禁止していたことが、薬事法の委任の範囲と認められないとの最高裁判決がなされました。本判決を受け、厚生労働省の「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」で議論がなされる一方、政府の「規制改革会議」や「産業競争力会議」等でも議論がなされてきました。厚労省の検討会は、5月31日、結論を一本化することができず、解禁に賛成及び反対の両論があったとのまとめとなりました。

このような状況を受けて、6月5日の産業競争力会議に「成長戦略(素案)」が提出され、また同日には規制改革会議が「規制改革に関する答申」を公表し、ともに一般用医薬品のインターネット販売を原則として認めることを公表しました。

一方、自民党においては6月7日早朝及び10日午後に開かれた政務調査会・日本経済再生本部合同会議において「成長戦略(素案)」、「規制改革実施計画(案)」、「骨太方針(素案)」について議論が行われ、多くの議員からインターネット販売に反対する意見が出されました。また、6月13日早朝には、自民党の薬剤師問題議員懇談会総会が急遽開催され、本件について議論がなされ、インターネット販売に当たっては、消費者の安全性を最大限確保できるルールの下でなされる必要がある旨の決議書を採択し、菅官房長官、高市政調会長等にお届けしました。

しかし、政府は、6月14日の閣議において、日本再興戦略(成長戦略)等を決定しました。一般用医薬品について、インターネット販売を認めることとし、その際、消費者の安全性を確保しつつ、適切なルールの下で行うこととするとしています。また、「スイッチ直後品目」、「劇薬指定品目」については、医療用に準じた形での慎重な販売や使用を促すための仕組みについて、専門家による検討を行い、秋頃までに結論を得て、制度的な措置を講じるとしています。

長年にわたって、安全性の確保を最優先とし、対面販売を主張してきた日本薬剤師会、薬害被害者団体等の要望は採用されなかったわけで、誠に残念であります。今回の閣議決定は、薬剤師等の専門家の関与を否定したものではありませんが、直接の対面販売でなくてもよいとされたことになります。従って、今後検討される適切なルールが、対面販売と同様な機能を担保できるような内容となるよう注視していく必要があります。
一方、日本再興戦略では、疾病の予防・健康管理の推進のため、「薬局・薬剤師を活用すること」が明記されていることは評価できると思われ、今後は具体的な政策の充実・強化を求めることが必要であると考えます。