原発事故調査委法案が成立し、第178臨時国会が閉会
野田新内閣の誕生を受けて9月13日に召集された臨時国会が、9月30日に閉会となりました。野田首相の国連総会出席、日米首脳会談などがあったため、会期中の委員会における質疑は、衆議院、参議院とも予算委員会のみとなってしまいました。会期末の30日には厚生労働委員会などすべての委員会が、期末処理のための会議を開き、その後本会議が開催されました。
本会議には「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法案」が上程され、議院運営委員長から法案についての委員会審査の経過と結果の報告が行われたあと採決となり、全会一致をもって可決・成立しました。
本法案は、8月に自民、公明、たちあがれ日本の野党3党が衆議院に提出した「事故調査委員会設置法案」について民主党が修正協議に応じ、臨時国会に提出することになったものです。
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故の原因などについて調査することを目的とする委員会を、国会に設置するというものです。委員会は、民間の有識者からなる委員で構成され、このような委員会が国会に設置されるのは初めてのこととなります。委員会は、委員長を含む10人で組織され、委員は衆参両議院の承認を得て任命されます。委員会は、委員長と委員が任命された日から起算して、概ね6か月後を目途に事故調査の結果と下記の事項に関する提言を記載した報告書を両議院の議長に提出することになります。
○原子力に関する基本的な政策
○事故防止及び発生する被害の軽減のために講ずるべき施策又は措置
また、この委員会には、参考人の出頭を求め意見を聴取することができ、更に資料の提出要求ができるなど、強い調査権限が付与されています。
委員会により、原子炉のベントの遅れなどが指摘されている初動対応の適格性などが検証されることになり、原発事故という未経験の災害に対する原因究明が徹底的になされ、その結果が公表されることが、わが国に対する国際的な信頼回復につながるものと思われます。