第185回臨時国会が始まる
10月15日、第185回臨時国会が召集され、同日開会式が行われました。開会式の前に開催された「原子力問題特別委員会」において、再び委員長に選任されましたので、開会式への天皇閉会のお迎えに他の委員長らとともに参加しました。
開会式後の本会議において、会期は12月6日までの53日間と決定され、その後、安倍総理の所信表明演説を聴取し、次に2020年に開催される東京オリンピックの成功に向けての決議等が行われました。本臨時国会においては、原子力問題特別委員会のほか、環境委員会にも所属することとなりました。
さて、本臨時国会では、医療や医薬品関係における重要な法案が審議され、成立を目指すこととなっています。そのいくつかについて解説したいと思います。
一つ目は、衆議院において通常国会で継続審議扱いとなっていました、「薬事法等の一部を改正する法律案」と「再生医療等の安全性の確保等に関する法律案」です。これらの法律案の共通事項は「再生医療」の実用化に向けての適切な仕組みを構築し(再生医療法案)、その結果得られた「再生医療等製品」の有効性、安全性及び品質を確保し、特別な承認制度のもとで条件付承認を与え(薬事法改正法案)、早期に医療保険制度の中で使用できるようにしようという目的で提案されています。10月1日の衆議院厚生労働委員会において2法案についての集中審議が行われ、可決しました。今後、参議院において審議されることとなります。今国会中の成立が見込まれ、iPS細胞等の実用化に向けて、新たな医療の展開のための環境が整うことになります。
二つ目は、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」です。本法案は、社会保障制度改革国民会議の審議結果を踏まえ、8月21日に閣議決定された「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子について」に基づき、社会保障制度改革の全体像と進め方を明示することを目的とした法律案で、通称「プログラム法案」と言われているものです。衆議院において審議が始まっています。
三つ目は、「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案」です。これは、一般用医薬品のインターネット販売に関する最高裁判決を踏まえ、医薬品及び薬剤の使用に際しての安全性の確保を図るため、医薬品の区分として新たに「要指導医薬品」を新設し、販売に際して「薬剤師の対面による」情報提供及び指導を明確に義務づけるものです。この法案は、これから自民党内の手続きを踏んでいく必要があり、今国会会期内での成立が可能なのかが気になるところです。法律改正がなされると、一般用医薬品以外の医薬品(要指導医薬品を含む)については、「対面販売」が義務づけられ、法律上インターネット販売が禁止されることとなります。また、この法律改正では、指定薬物について、その所持、使用等を禁止することも含まれています。