2月28日 筋弛緩剤事件

新聞報道の片隅に平成12年に仙台市内のクリニックで起こった標記事件の記事が。記事は最高裁で無期懲役が確定した元准看護師(受刑者)の再審請求を、仙台高裁が棄却したとの内容ですが、小生にとっては国会初質問(13年10月25日)の際取り上げた事件でした。「藤井もとゆきは6年間国会で何をしたのか?」(薬事日報社)にも記述しましたが、受刑者は勤務先の「北陵クリニック」で患者5人の点滴に呼吸抑制を起こす筋弛緩剤を混入、一人が窒息死、一人が意識不明に陥った事件。同クリニックは院外処方箋発行を決め、9年8月以降薬剤師不在となっていました。
(13年1月10日付け日経新聞社説)「仙台市のクリニックで信じられない事件が起きた。・・・薬剤の管理やチェックには看護婦長と薬剤師が責任を持って当たるという医療機関が多いが、同クリニックでは薬剤師が不在だったという。・・・きちんとした管理をしているという病院でも「薬剤師の数が少なく、十分に目が届いているとは言えない」との声も少なくない。医療法によって薬剤師は「患者70人に1人」と決められているが、これでは少なすぎるという。医師や看護婦の人員基準はたびたび議論されるが、薬剤師の数に関してももっと検討されなければならない。・・・」。
(13年1月12日付け朝日新聞社説)「筋弛緩剤を安楽死薬と錯覚している人がいる。・・・「北陵」では、薬剤師が2年間も空席だった。それが、危険な薬剤が簡単に持ち出された背景にあると考えられる。・・・薬剤師の仕事を軽んじるのは日本の医療の悪しき伝統だ・・・。」
診療所に勤務する薬剤師数は、直近(28年12月31日)のデータでは5899人。一般診療所数は101505施設、うち有床診療所は7523施設あります(29年1月末現在、厚生労働省動態調査)。