2月9日(金) 後期高齢者医療制度

 厚生労働省の、社会保障審議会の後期高齢者の医療のあり方に関する特別部会の審議が進んでいます。9日、8:30から、自民党の社会保障制度調査会の医療委員会が開かれ、厚生労働省から、その審議状況についての説明がありました。
 当日は、まず、高齢者医療の現状について、資料で説明されました。主なものを上げてみますと、
○ 65歳以上の人口は、現在2576万人(全体の20.2%)であるが、2030年には、3667万人(全体の31.8%)、2050年には3764万人(39.6%)となる。
○ わが国の高齢化率は、世界でもトップ
○ 後期高齢者の傷病別外来受療率は、循環器系疾患(高血圧、心疾患など)、筋骨格及び結合繊維疾患(間接障害など)が高い。特に、脳血管疾患が多い。
○ 死亡場所が80%以上が病院、自宅は10%程度しかない。
○ 年間死亡者数が、現在は110万に程度であるが、2038年ごろには170万人となる。
○ 一般国民は、脳血管障害や痴呆となって日常生活が困難となった場合、病院や介護施設等で望んでいる人が7割以上を占める。その理由として、在宅での療養は困難だからという理由が最も多い。
○ 自宅で最後を迎えることができると思っている日とは8%程度しかいない。
○ 後期高齢者の一人当たり薬剤費は高く、多剤投与が多い。
等です。
 このような高齢者医療の実情を踏まえ、どのような後期高齢者医療制度とするか、その診療報酬体系のあり方も含め、これから議論がされてゆくわけです。後期高齢者の医療体系の課題、論点として、次のようなことが挙げられています。
○ 複数疾患を併有しており、併せて心のケアも必要
○ 慢性的な疾患のため、その人の生活に合わせた療養を考える必要がある
○ 複数医療機関を頻回受診する傾向があり、検査や投薬が多数・重複となる傾向がある
○ 地域における療養を行えるよう、弱体化している家族及び地域の介護力をサポートしていく必要がある
○ 患者自身が、正しく理解をして自分の治療法を選択することの重要性が高い
 
 厚労省の特別部会は、この3月末までに、制度の骨格についての考え方をまとめ、夏以降に具体的な方向をまとめてゆくこととしているようです。党のこの医療委員会でも、3月までに5?6回の審議を行い、意見を集約してゆくということです。
 今年の前半は選挙、そして後半は、この新しい医療制度についての議論、と熱い1年が続きそうです。